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ラグジュアリーコンソーシアムSerandipians加盟旅行会社を欧州から招請

ラグジュアリーコンソーシアムSerandipians加盟旅行会社を欧州から招請

ラグジュアリーコンソーシアムSerandipians加盟旅行会社を欧州から招請

2023年6月、日本政府観光局(JNTO)では主に欧州の旅行会社などが加盟するラグジュアリーコンソーシアムのSerandipiansと連携し、Serandipians会長と欧州7ヵ国の高付加価値旅行専門の旅行会社を招請しました。高付加価値旅行の取り組みについては、観光庁のアクションプランで「コネ」、「ウリ」、「ヤド」、「ヒト」の4分野に関する施策を講じることが掲げられています。今回のファムトリップについて、これら4施策を切り口としてレポートします。

コネ――JNTOによるセールス強化の取り組みがファムトリップを実現

4施策のうち「コネ」はJNTOが重点的に取り組んでいる役割です。国内外の高付加価値旅行関係者へのセールス強化やネットワークの構築により、コネクションを強化しています。

欧州・米国・豪州などロングホールの国・地域の高付加価値旅行者は、旅行会社を通じて訪日旅行を手配する傾向があるため、特にテーラーメードの旅行を得意とする高付加価値旅行専門の旅行会社へアプローチすることで、彼らが持つ顧客への訴求が期待できます。

そのため、JNTOは、主に欧州の旅行会社などが加盟するラグジュアリーコンソーシアムのSerandipiansと2018年よりパートナーシップ契約を締結し、商談会への出展、加盟エージェントへのニュースレター配信、ポータルサイトでの広告などに取り組んできました。2022年12月にはSerandipiansと連携したイベント「Japan Night」をフランスのマルセイユで主催し、その後は日本のサプライヤーと連携してアジア地区限定の商談会の日本開催を働きかけました。こうしたセールス活動が実を結び、「Asian Grand Tour in Tokyo」開催に加え、欧州のトップエージェントを対象とした今回のファムトリップが実現しました。また、ファムトリップを通じて参加者との新たなネットワークを構築できたことも「コネ」に関する成果です。

ウリ――特別な場所で特別な人が迎えるエクスクルーシブ感がカギ

ファムトリップでは、訪問地域ごとに北海道は「アドベンチャー」、石川県は「武家文化とモダンアート」、京都府は「歴史的・伝統的文化体験」のテーマを設定し、行程を組みました。これは、2022年度にJNTOが選定した高付加価値旅行コンテンツを検証する機会にもなり、参加者の評価から新しい気づきにも恵まれました。

高付加価値旅行者は、異文化に浸り、おいしいものを食べ、美しい自然を見てリラックスすることを大前提としつつ、「旅行する意味」を強く求める傾向があります。知的好奇心が強いために表面的な説明では物足りず、歴史的・文化的な背景を知りたがり、体験したがり、話を聞きたがります。

そのため、行程の作成にあたっては、訪問地のコアバリューや特別な体験を深掘りしてテーマとコンテンツを組み合わせること、つまりストーリー性を持たせることが重要になります。

それでは、特別な体験とはどのようなことでしょうか。
今回は初訪日の参加者が多かったこともあり、定番の観光名所も行程に盛り込みましたが、「場所は素晴らしいが顧客には勧められない」との声がありました。体験を特別なものにするためには、歴史・自然環境の観点で特別であることに加え、一般公開されていない場所を特別に訪問できる、貸し切りができるなどの柔軟な対応がないと、高付加価値旅行の場合は「ウリ」につながりにくくなってしまうのです。
また、そういった特別な場所で、特別な人が出迎えることも大切です。お寺なら住職、芸術関係なら職人やアーティストが迎え入れ、彼らが直接説明することで、エクスクルーシブ感が増して魅力的なコンテンツとなるのです。

本ファムトリップでは、日本の地方の高付加価値旅行コンテンツを、マーケットを熟知した旅行会社に体験してもらうことで、「高付加価値旅行者が求めるものはなにか?」という課題に対して、より訴求力のあるコンテンツを作り上げていくことが重要であると再確認することができました。
日本には多種多様な文化や自然のコンテンツがありますが、コンテンツの提供者と日本国内の手配をする旅行会社がいかにつながってアレンジできるかがカギとなります。JNTOでは、関係者をつなぐためのイベントやプラットフォームを提供し、国内のコネクション強化も図っていきます。

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14世紀に建てられた京都のお寺での座禅体験は、一般には提供していない特別な体験

ヤド――宿泊施設の「上質さ」は対価に見合う施設とサービス

ラグジュアリーな宿泊施設には、「フォーブス・トラベルガイド」や「ミシュラン・ガイド」で格付けされているもの、Serandipiansのようなコンソーシアムへ加盟しているものに加えて、こだわりの感じられる小規模の旅館やオーベルジュもあります。その中で「上質な」宿泊施設とは具体的にどういうものなのか、ファムトリップで見えてきた共通点をご紹介します。

ハード面では、入った瞬間に「ワォ」と感嘆の声が上がるようなエントランスやラウンジ(豪華さより宿の姿勢やコンセプトを感じるもの)、広々とした客室、デザイン性の高い調度品、バーなどの施設が期待されます。旅館の場合は、ベッドや露天風呂付きの客室などの選択肢があった方がよいでしょう。旅先でも運動できるジムやプールなどの設備があるかどうかも参加者はチェックしていました。
また、知的好奇心の強い高付加価値旅行者はアートへの関心が高く、アートの空間があることも上質な宿泊施設の条件に寄与すると考えられます。今回訪問した石川県のべにや無何有では、コンテンポラリーアートの展示スペースで食前酒が振る舞われ、その空間と時間が特別なものとして演出されていました。

ソフト面では、洗練されたサービス、リラックスできるウェルネス、地元食材を使用したこだわりの食がポイントです。それぞれ宿のスタイルが貫かれ、心地良いだけではなく個性を持った特別感がありました。べにや無何有では、主人自らがお茶を点てて振る舞う粋な出迎えが喜ばれました。

一方で、一部の旅館では朝食時間が固定されていて融通が利かないこと、メニューの選択肢がないこと、客室の電源やエアコンの操作ボタンに英語表記がないことなど、参加者から改善点のフィードバックがありました。高付加価値旅行者は対価に見合うサービスを求めるため、さまざまな要望に対する柔軟な対応は欠かせません。

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オーナー夫妻自らがお茶を点てて出迎える石川県のべにや無何有。ルレ・エ・シャトーにも加盟している

ヒト――高付加価値旅行者のニーズを満たす優秀な人材が不可欠

高付加価値旅行者はまた、訪問地への理解の深まり、旅先での感動や癒やし、内面が豊かになる体験、心が温かくなる出会いや発見を期待しています。ファムトリップで高評価を得たコンテンツは、必ずと言ってよいほど「ヒト」が関わっているものでした。

北海道ではガイドと一緒にハイキングをしている途中でアイヌの人たちが登場し、アイヌの生活に関する話や伝統楽器の演奏をしてくれて、アイヌ文化を知るよい機会だったと高評価を得ました。自然との関わりが深いアイヌの人たちと自然の中で出会い、交流ができたことが印象深い体験になったようです。
また、石川県での弓道体験では、道着を着て地元の弓道クラブの人たちに手取り足取り教えてもらったこと、京都府では金細工職人の自宅兼アトリエで職人自ら英語で説明してくれたことなどが、今回の旅のハイライトだったという声もありました。

他方、大切な人材として忘れてならないのはガイドです。ガイドの質によって旅の印象が変わるといっても過言ではないほど、ガイドの存在は大きいと再認識する機会にもなりました。日本や訪問地についてわかりやすく説明ができ、かつ聞き手の「なぜ」に答えられる深い知識、それらを明確に伝えられる語学力は言うまでもありません。
ファムトリップでは、優秀な通訳案内士がガイドを務めました。質の高いガイドには、参加者の心をつかむユーモア、要望や状況に応じた機転、押しつけにならない心遣いといった、積み重ねられた経験に裏打ちされた「ヒト」としての魅力があると感じました。

そして、これらの「ヒト」を「ウリ」、「ヤド」と結び付けて旅行を手配するのが旅行会社です。顧客の好みを熟知した彼らがテーラーメードの旅程をアレンジし、顧客が喜びそうなサプライズで「あなただけ」の特別な演出をすることも手腕の見せどころです。

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北海道でハイキングの後にサプライズで用意されたバースデーケーキ

高付加価値旅行では特に「ヒト」が重要な要素になります。JNTOとして意識すべき役割は、これらの「人と人をつなぐ」ことと考えており、引き続き国内外のネットワークの構築やセールスの強化をしていきます。

【参考リンク】

JNTOラグジュアリーサイト