2021年11月2日
インバウンド再興に向け、グローバルキャンペーン「Enjoy my Japan」サイトと動画をリニューアル
JNTOでは、主に欧米豪を対象に2017年度からグローバルキャンペーン「Enjoy my Japan」を展開していますが、この度、キャンペーンサイトと動画をリニューアルし、時代にあった新しいグローバルキャンペーンとして、再スタートしました。こちらの記事では、「Enjoy my Japan」の概要やリニューアルした動画の特長、キャンペーンサイトの構成などについてご紹介します。
訪日のきっかけ作りを行う「Enjoy my Japan」グローバルキャンペーンとは
旅行者の興味や関心事を「7つのパッション」に分類しアプローチ
「Enjoy my Japan」グローバルキャンペーンは、主に欧米豪を中心に相当数存在する「海外旅行には頻繁に行くが日本を旅行先として認知・意識していない層」(以下、訪日無関心層)をターゲットとしています。欧米、特に欧州では海外旅行を楽しむ人の数が非常に多く、アジア・太平洋地域へも年間1億3,400万人が旅行していますが、日本への旅行者数はわずか170万人にとどまっています(2018年。下表)。これは欧米人にとって海外旅行先としての日本がいまだ浸透していない証であると同時に、旅行先としての高いポテンシャルを含んでいるとも言えます。この訪日無関心層に対して「日本に行ってみたい!」と思わせる、訪日のきっかけ作りを行うことがグローバルキャンペーンの目的です。
アジア・太平洋地域への潜在的な旅行者数のシェアと日本の現状の比較(2018年)
訪日無関心層は日本を旅行先として捉えていないため、自ら日本について詳しく調べたり、日本と他のデスティネーションを比較したりという行動をとりません。そのため、グローバルキャンペーンでは旅行の動機づけとなる旅行者個人の“興味”や“関心”=(7つのパッション)を入り口にしたプロモーションを行っています。
欧米豪6か国の大規模アンケートにより決定した7つのパッションは、以下のとおり。
7つのパッション
グローバルキャンペーンでは、その人それぞれの興味や嗜好に合ったパーソナルな「my Japan」が見つかることを7つのパッションごとの動画で表現しています。たとえば 「伝統的な刀作り体験や陶器・盆栽といった日本らしい芸術文化に触れる(Tradition、Art)」「進化し続ける最先端の街とフォトジェニックな伝統的な街並みを歩く(Cities、Tradition)」「お寺での桜や温泉に入るスノーモンキーなど日本らしい風景の中で四季を楽しむ(Nature)」など、日本でしか体験できない旅の魅力を訴求しています。オンライン広告を使って、生活のさまざまなシーンでこれらの動画をターゲットに触れさせることで、訪日のきっかけ作りをしています。
動画広告からはグローバルキャンペーンサイトに誘引し、そこでさらに日本が有する多様な魅力を深堀りしてもらうことで、訪日旅行への関心・意欲を効果的に高めます。
新動画で訪日への期待感を醸成
多彩な日本の魅力を盛り込んだ新動画
今回の新動画は、各種調査結果も反映し、他国と違う日本らしいコンテンツの訴求と地域や各省庁との連携強化を意識しています。また多様化する最新のオンライン広告配信手法に柔軟に対応するため、SNS用縦型動画を新たに制作しています。
● コンセプトムービー(60秒)※他に30秒、15秒版あり
●パッション別ムービー(30秒)
・Nature
https://youtu.be/Rl9gvBFAV_A
・Outdoors
https://youtu.be/og1ysGkaNn4
・Tradition
https://youtu.be/QdffelJ9Hck
・Cuisine
https://youtu.be/pi_pHC6Qcyo
・Art
https://youtu.be/96SpwvHehMA
・Relaxation
https://youtu.be/_15_eD5QPzQ
・Cities
https://youtu.be/EHX2t2cfrFU
●SNS用縦型動画(15秒)
縦型動画は、こちらの再生リストからご覧ください。
https://www.youtube.com/playlist?list=PL92y26hheciJqeGT-M1hP4Ype09Pgcx5_
新動画のコンテンツにはさまざまな調査結果や時代の変化を取り入れています。
まず、欧米豪を対象に行った大規模調査から見えてきたものとして、海外旅行全般と日本旅行に期待するものを比較したところ、日本旅行独自の魅力と思われているものは「花や紅葉などの季節の風景」、「祭りなどのイベント」が際立った一方、日本旅行のイメージとして弱いものは「リラクゼーション」、「ビーチリゾート」、「アウトドアアクティビティ」ということがわかりました。その強化のためにビーチやアウトドアアクティビティを連想させる山を単に見せるだけでは訪日のきっかけづくりとしては弱く、日本らしい要素と組み合わせて魅力を訴求し、日本に行くことの動機付けを高める必要があると考えられます。
そのため、新動画は、オープニングに日本らしさが伝わるようなインパクトのある映像を入れ、他国では味わえない日本での体験をイメージさせることによって、訪日への期待感を醸成しています。
また旅に対する近年の人々の趣向の変化を取り入れ、ユニークな文化体験やアクティビティを想起させることも重視しました。さらに世界的な傾向として、都市を離れた「自然」や「アウトドア」への関心が高まっていることから、まだ伝えきれていないさまざまな地域の大自然の魅力や日本らしいゆったりした休暇の過ごし方をしっかり見せています。
今後、2030年の訪日外国人旅行者6,000万人、旅行消費額15兆円の目標達成に向けては地域や他省庁との連携も求められており、グローバルキャンペーンの動画でもExperiences in Japanや国立公園、日本遺産などのコンテンツを多く取り上げています。
新キャンペーンサイトで地域の魅力をより効果的に発信
冒頭に動画を据えて視線を捉え、深堀りサイトへ誘引する
新キャンペーンサイト ⇒ https://www.japan.travel/en/enjoymyjapan/
リニューアルしたグローバルキャンペーンサイトの特長は、既存のJNTO別サイトへのリンクを強化したことにより、パッションを入り口に具体的な情報へすぐに遷移できることです。
7つのパッションを入口としたテーマ別サイトや日本の地域の魅力を伝えるさまざまな記事にダイレクトに遷移できるため、徐々に自分の興味を深掘りしてもらうことができます。
また、ウェブサイトで見られる7つのパッション別動画は、面白い仕様が追加されています。
ショッピングサイトでは見かけることも多いものですが、動画視聴中に気になる場所をタッチするとその場所が自動的にストックされ、ストックしたアイテムに触ると自らWeb検索しなくてもその情報へシームレスに飛べるものです。これによって、キャンペーンサイト訪問者がダイレクトに情報を深掘りすることができるようになり、動画撮影地をきっかけに訪日促進をよりスムースに図ることができます。
※新キャンペーンサイト冒頭の動画をご視聴ください。→https://www.japan.travel/en/enjoymyjapan/nature/
グローバルキャンペーンの広告展開で、日本へのエンゲージメントを高める
2019年度は、40市場(6言語対応)で、7つのパッションに紐づく動画広告とバナー広告をグローバルに発信できる媒体を中心にオンライン上で展開し、接触機会の拡大を図りました。
さらに、一度動画を視聴した方に対しバナー広告を配信するリマーケティングやWebサイト訪問者に似た人に対する類似ターゲティングを実施したほか、オンライン広告だけではカバーできない層への情報発信を行うため、グローバルTV(BBC、CNN、Euronews)や機内広告、民間企業(Adobe、SUBARU)と連携した広告を実施し、より絞り込んだ各媒体や企業にエンゲージメントの高いターゲットに対し、効果的な発信を行ったところ、総インプレッション数(広告表示回数):約30億回、動画広告視聴回数:約1億 2,500万回、バナー広告クリック数:約1,400万回を記録しました。
その結果2020年に行われた調査では、事業実施の効果の一つとして、①訪日無関心層は減少し、逆に訪日関心層が増えた、②広告に接触したことで日本への好意度が上がり、訪日関心層に変化したことがわかります 。
①訪日無関心層の経年推移
訪日無・低関心層:64.0%( 2017年7月) ⇒ 58.2%(2020年3月)
訪日関心層:14.1%( 2017年7月) ⇒ 19.4%(2020年3月)②広告の視聴前後での態度変容
・訪日無関心層の51.4%が関心層に変化
・訪日無関心層のうち83.8%が日本に対する印象が良くなった
・訪日無関心層の日本への好感度が8.9ポイント上昇
上記の結果を踏まえ、2021年度は、11月より欧米豪市場にて新動画を活用したオンライン広告を実施し、タイミングを逃さず「将来的な訪日意欲醸成のためのイメージ訴求」を効果的に実施します。新たな広告配信手法を取り入れることで、異なるメディア間での連携も図り、同じ人が何度も訪日喚起広告に触れることで個々のエンゲージメントを高め、より確実に予約へと結びつける広告を配信していきます。
コロナ禍における未曾有の状況下ではありますが、リニューアルされたキャンペーンサイトや動画が少しでも皆様の訪日プロモーションのお役に立てば幸いです。