2018年7月9日
[2018年度調査] 欧米豪発アジア観光マーケット調査
日本政策投資銀行ならびに日本経済研究所では、昨今注目される欧米豪市場について、欧米豪発のアウトバウンド動向について整理を行った上で、欧米豪人の誘客における競合状況を明らかにし、アジアの観光マーケットという視点で調査を実施しました。 この調査結果が「欧米豪発アジア観光マーケット調査」(発行:2018年5月、日本政策投資銀行、日本経済研究所)として公表されましたので内容のポイントと調査資料をご案内します。
訪日外国人観光客数は2016年に約2,400万人と過去最高を記録し、うち1,800万人はアジア圏からとなっています。ただし、これらアジア圏からの観光客は、一部富裕層が含まれるものの、多くは団体旅行による観光客であり、一人当たり観光消費額は比較的低いことが指摘されています。
その中で、一人当たり観光消費額が高い欧米豪からの誘客が重要とされていますが、年間訪日客数(2016年)は欧州からが約100万人、米国からが約120万人、豪州からは約45万人に留まっており、アジア圏からの観光客数と大きくかけ離れている状況です。
一方で、タイ・インドネシアなどでは、欧米からの観光客が多く、観光消費額も高いことから観光産業が発展、観光先進国として認知されています。
この中で、観光戦略の基本となる欧米豪のアウトバウンド動向については、必ずしも情報が整理されておらず、また、アジア圏では日本とどこが競合するのか(ポジショニング)といった切り口での情報があまり発信されていないのが現状です。
そこで、(株)日本政策投資銀行ならびに(株)日本経済研究所では、「欧米豪発のアウトバウンド動向」および、日本と同様に彼らのホスト国となる「アジア地域の観光マーケット動向」に関する整理・分析を行い、日本がグローバルな観光マーケットの中でどのような競争環境に置かれており、今後、どのように対応していくべきかを検討するために、本調査を実施しました。
調査は以下の手順で実施しました。
第Ⅰ章 欧米豪アウトバウンドの動向整理
欧米豪海外旅行客の基礎情報として、彼らを取り巻く環境、旅行中の支出や行き先等の特性整理を行い、訪日欧米豪市場の可能性について言及しました。
第Ⅱ章 アジア地域の観光マーケット動向
アジア地域の観光マーケットについて、同地域の全体状況や各国別の欧米豪人の誘客状況、同マーケットにおける欧米豪海外旅行客の嗜好性について整理を行いました。
第Ⅲ章 欧米豪発アジア観光マーケットにおける日本のポジショニング
第Ⅱ章で明らかとした情報をもとに、アジア地域の6ヵ国(インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、日本、マレーシア)における欧米豪観光客の支出額、マーケットサイズを比較し、その上で日本のポジショニングを整理しました。これらの結果をもとに、日本の強み・弱みを検討し、今後の誘客方策のあり方について考察しました。
以上の調査結果から、我が国における欧米豪富裕層誘客のポイントについて、LEAD(Long:長期滞在需要に対応する, Exciting:冒険心・好奇心を満たす, Authentic:特別感を演出する, Diversity:多様性に対応する)と整理しています。
我が国における外国人(特に欧米豪人)を対象とした観光分野の開発は、アジア他国に比べて後発感は否めません。しかし、欧米豪人の旅先として我が国の人気が高まりつつある今、これらの誘客方策に取組み、彼らの訪日リピート率を高めることで、日本はアジアにおける先進国として、インバウンド観光分野でもアジア他国をリードする存在を目指すことが重要です。
>「欧米豪発アジア観光マーケット調査」はこちら<
>日本政策投資銀行の調査についてはこちら(外部リンク)<
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