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アドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)2023@北海道 神秘の地 屋久島PSA体験レポート

アドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)2023@北海道 神秘の地 屋久島PSA体験レポート

アドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)2023@北海道 神秘の地 屋久島PSA体験レポート

2023年9月11日~14日に北海道で開催されたアドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)に合わせて、大会参加者を対象としたエクスカーションとして、北海道をはじめ日本各地で全22コースの「プレ・サミット・アドベンチャー(PSA)」が展開されました。 本記事では、そのうち屋久島でのPSAに参加した日本政府観光局(JNTO)ロサンゼルス事務所のKay Allenによる体験レポートをお送りします。

神秘的な自然が残る世界自然遺産の屋久島PSA

95日〜10日に、世界自然遺産にも登録されている鹿児島県の屋久島で行われたPSA "Trek and Water activities in the World heritage mystery island,YAKUSHIMA"(世界自然遺産に登録された神秘の地「屋久島」でのトレッキング、ウォーターアクティビティ)に参加しました。

アドベンチャートラベル(AT)関連の視察やイベントで日本には何度も訪れ、47都道府県中35に行ったことがありますが、屋久島訪問は今回が初めてでした。映画の舞台になったと言われるその神秘的な自然環境に惹かれて、「いつか必ず行きたい!」と思っていた場所なので、個人的にも非常に楽しみにしていました。

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樹齢千年以上の屋久杉が生い茂る屋久島は1993年、日本で初めて世界自然遺産に登録された。

屋久島PSAは以下の旅程で催行されました。

Trek and Water activities in the World heritage mystery island, YAKUSHIMA(レベル4
(世界自然遺産に登録された神秘の地「屋久島」でのトレッキング、ウォーターアクティビティ)

[旅程]
Day 1 鹿児島で集合し、屋久島へ移動
Day 2 世界自然遺産の森林ハイキング
Day 3 栗生川でカヤック& 沢登り
Day 4 メインアクティビティ:黒味岳ハイキング
Day 5 屋久杉ワークショップ
Day 6 最終日、ATWS本会場の札幌へ移動

フィンランドのジャーナリストやドイツの旅行会社など、海外から様々な国・立場で私を含め計6名が参加し、期待に胸を膨らませていました。

持続可能なコミュニティが支える屋久杉ワークショップ

私が常々感じている日本のATの強みとは、海にも山にも恵まれた自然の多様性があり、各地で驚くほどバラエティに富んだアクティビティが行われていることです。日本といえば、首都である東京と古都として歴史ある京都の2都市が世界的に非常に有名ですが、実は他にもさまざまなATを楽しめるエリアがある。このことは、まだまだ世界にアピールしていく必要があるように感じています。

また、PSAで訪れた屋久島は突出した独自性を持っており、その魅力は唯一無二です。3日目、栗生川でカヤックと沢登りを楽しんでいた時のことです。カヤックまでは晴天続きだった天候が、沢登りが始まった瞬間にまるで空が落ちてきたかのような集中豪雨に様変わりし、辺り一帯が水と深緑に包まれたあの神秘的な経験は、生涯忘れられないものになりました。

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屋久島は「水」の島。参加者皆が川を去るのを惜しむほど満喫したカヤック体験。

5日目のハイライトは、地元の木工房で屋久杉の端材を使ってフラワーベースを作るワークショップでした。木工作家がどういう思いでものづくりに向き合っているかを聞かせてもらい、そこでの雰囲気も含めて参加者全員が口を揃えて「すばらしかった」と振り返る空間でした。

そのあと訪れたショップでも、販売している製品は木工品をはじめ、杉のオイルを使った石鹸やお香、地元の養蜂場で収穫したはちみつなど、どれも屋久島でしか手に入らない原材料を使ったものばかりでした。ショップが単に商品を売る場ではなく、ショップ全体で屋久島の特性を表現しており、それらに囲まれて私たち旅行者も屋久島への理解をさらに深めていくという一体感を実感することができました。

そうした心豊かな時間を持てたのも、AT関係者と地元の人たちとの協力体制や真の協業があればこそだと思います。皆の心をひとつにしたサステナブルなコミュニティが築かれていることに、深い感銘を受けました。

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疲れがたまりやすい5日目は文化的なプログラムが中心。蒸溜所や木工房を見学した。 

島固有のストーリーを物語るベテランガイドたち

ATにおいて、ガイドのクオリティは成功の鍵を握る非常に重要な要素のひとつです。屋久島PSAでは島暮らしが20年という、島のことをすべて知りつくしたスルーガイドに同行いただきました。9時間近くかかる黒味岳登山でも登頂経験100回以上という大ベテランの現地ガイドが随行し、とても心強く感じました。

ガイドの方々は島の豊かな生態系やエコロジカルな自然環境についての説明も詳しく、また、アプリを活用した最新情報のアップデートや情報共有も徹底していました。

幸い、滞在中は天候に恵まれましたが、万が一荒れ模様になった時の対策も安全対策同様に万全だったようです。ハイキング中に参加者の靴のかかとが外れてしまうという思わぬ事態への応急処置も素早く、安心して身を委ねることができました。

007.jpg メインアクティビティだった黒味岳の頂上

このように、「あらゆる状況に対応できる準備が整っている」ことはあくまでもガイドの前提条件であり、ATのガイドに求められるのは「その場所ならではのストーリーを伝える」ことです。

その点、屋久島のガイドからは「島の人たちは、島全体をひとつの時計として考えているんですよ」という、とてもユニークなストーリーを聞かせていただきました。

屋久島全体の丸い地形をそのまま時計の盤面に見立てて、「今、1時のエリアは雨が降っているけれど、5時のところは晴れているんです」というような説明を聞くと、同じ島にいながら異なるタイムゾーンを生きているような不思議な感覚にとらわれ、この広い世界の中で屋久島のような場所は他にあるのだろうか、という思いが強くなりました。

便利なアプリで準備万端、ホテル移動なしでリラックス

屋久島に到着した日、参加者全員のスマホに情報共有アプリのEvernoteが設定されました。このアプリでは、旅程のほか、毎朝の気象情報がアップデートされ、アクティビティの難易度など詳細情報も目に見えてわかるので、皆にとても好評でした。

屋久島では全行程同じホテルに連泊できたことも便利でした。もし、ホテルを移動していたら、連日体力勝負のアクティビティが続くなか、毎晩パッキングをすることとなり、参加者の疲労感も強くなっていたと思います。

それから、ホテルのロビーに通常のお土産屋さんとは別にAT専門のショップがあったことも印象に残っています。日本ではどのようなAT商品を販売しているのか、他の参加者たちも興味深く見ていました。

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(左)参加者に共有された情報。その日の適した服装や必要な持ち物がわかる(右)シックでモダンなスタイルのホテル。窓からの景色も美しかった。

食から感じた、お客様の幸せを親身に考えるおもてなし

地域に根差した食体験はATの醍醐味です。屋久島で提供していただいた料理の中にも、地元ならではの特産品であるトビウオ料理がありました。

今後に向けたポジティブな改善案としては連日続いたトビウオ料理以外にも、その土地の多様な食をかわるがわる出していくことでより新鮮さが増し、参加者の満足度も上がるように感じました。

 また、屋久島滞在最後の夜に、こんな嬉しい出来事がありました。初日のディナーのとき、ホテルのオーナーに「日本の甘いものは何が好きですか?」と聞かれ、私が「大学芋です」と答えると、「それは珍しい!」と驚かれたのですが、屋久島最後の夜、会席料理のデザートが、なんとその大学芋だったのです。

その心遣いがとても嬉しく、たとえひとりでもお客様の幸せを親身に考えてくれる日本のおもてなしの心を感じました。

010.jpg左の皿がうれしかった大学芋。おもてなしの心が伝わります。

 

以上、駆け足で振り返りましたが、屋久島PSAは独自の自然環境やそこでしか体験できないアクティビティ、ガイドや地元の方々の一体感あふれるコミュニティなど、こちらの期待をはるかに上回る経験の連続でした。他の参加者からもネガティブな意見は一度も聞こえてきませんでした。

また、PSA参加後には、「この神秘的な屋久島の自然を守りたい」という想いが新たに芽生えました。ATの旅行者ならば、自然環境に対する理解やローカル・コミュニティへのリスペクトが深く、同じ想いを抱いてくださるのではないかと期待しています。

JNTOのスタッフとして今後も、屋久島のすばらしい独自性をはじめ、日本のバラエティ豊かなATを世界にアピールしていきたいと考えています。

参考リンク

JNTOアドベンチャートラベル紹介ページ(英語)

ATWS2023 Hokkaido Japan(ATTA公式ページ)