2025年2月10日
世界34ヵ国・地域から275社のバイヤー、300団体のセラーが参加! インバウンド商談会「VJTM&VJMM2024」レポート

日本政府観光局(JNTO)は2024年9月26日(木)~28日(土)、東京ビッグサイトで「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート2024(VJTM&VJMM)」を開催しました。世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2024」との合同開催で、世界34ヵ国・地域から訪日旅行を取り扱う旅行会社275社と、日本全国の観光関係事業者300団体が集結。商談会終了後は、来日したバイヤーたちが東日本を中心とするファムトリップに参加し、日本の新しい観光資源を視察しました。
バイヤー満足度約76%! 国内最大のインバウンド商談会
VJTM&VJMMは、1996年から開催している国内最大級のインバウンド商談会です。訪日旅行商品造成を促進するために、海外の旅行会社(バイヤー)と国内の観光関連団体(セラー)のマッチングの機会を提供しています。
今回は、世界34ヵ国・地域から275社のバイヤーと日本全国から300団体のセラーが参加。事前にバイヤーとセラーの希望に沿ってマッチングされた1枠20分間の商談を、計8,296件行いました。
海外から参加したバイヤーからは、「新しいセラーと知り合って、連絡が取れるようになった(米国)」、「毎年、とても満足している(イタリア)」、「日本へのグループツアーを企画できるセラーを見つけることができ、将来に向けて強固なビジネス関係を築く素晴らしい機会であった(カナダ)」、「期待以上の成果があった(メキシコ)」といった声が多数聞かれ、商談会全体への満足度は「満足した」が75.9%と非常に高い評価を得ました。バイヤーの満足度評価は、VJTM2022が59.0%、VJTM2023が71.7%と年々上昇しており、ほぼすべてのバイヤーが次回も参加したいと回答しています。
国内から参加したセラーからも、「多くのバイヤーと商談することができ、今後の販売につながりそうな商談もあった」、「普段アプローチしにくい国や地域に営業活動を行うことができた」、「見えていなかった問題点など新たな気付きがあり、今後の改善に大いに役立つと実感した」などの声が寄せられ、58.5%が「満足した」と回答しました。セラーへのアンケートで今後の成約の可能性を尋ねたところ、団体によって0~29件と幅はありますが、成約に至る可能性がある商談は計1,921件に上りました。
また、商談会場には、JNTO海外事務所の職員16名がブースを設け、セラーと各市場に関する個別コンサルティングを180件以上行いました。こちらも「今後に活用できる情報を得ることができた」と好評でした。
左:バイヤーとセラーの商談の様子、右:JNTO海外事務所との個別コンサルティングの様子
218名のバイヤーが、12コースに分かれてファムトリップに参加
9月28 日(土)の商談会終了後からは、東日本を中心とした12コースのファムトリップ(※下記、ファムトリップコース概要参照)を実施し、218 名のバイヤーが参加しました。ファムトリップは、旅行業界のプロフェッショナルたちが商品造成に役立てるために現地を視察するツアーです。今回は、3泊4日を9コース、2泊3日を3コース用意し、各コースにはアドベンチャートラベル(以下、AT)、ワインツーリズムなどのテーマを設定。地方での滞在日数増と消費額拡大を図るため、ラフティングやカヌーといったアウトドアアクティビティや、伝統工芸品制作をはじめとする文化体験、農作物の収穫と地産地消の料理体験などを取り入れました。
12コース中最も高い評価を得たのは、参加者の約95%が「満足した」と答えた青森・秋田コースです。ねぶたの家見学や奥入瀬渓流の散策、きりたんぽ作り体験などを行いました。バイヤーからは、「顧客には日本らしさが残る東北を旅することを勧めたい(イスラエル)」といった感想が寄せられ、全員が、「今後このエリアへのツアー造成・送客を検討する」と答えました。これに次いで評価が約93%と高かった茨城・栃木コースは、偕楽園の見学、益子町や蔵の町の散策などが盛り込まれており、「ゴールデンルート以外の隠れた名所がいくつもあった。自社のツアーに組み込む(デンマーク)」との声があり、こちらも今後の訪日旅行商品の造成・販売が期待されます。
左:「青森・秋田コース」きりたんぽ作り体験、右:「茨城・栃木コース」偕楽園
自然系アクティビティが好評! 外国語ガイドの説明で楽しさ倍増
今回の12コースに共通して好評だったのは、ハイキングやカヤック、サイクリングなどの自然系アクティビティです。VJTMに参加するバイヤーは一般的なレジャーツアーの造成担当者が主ですが、参加者からは、「自然の美しさを楽しみながら運動する、このタイプのツアーはユニークだ。(岩手・宮城コース 遠野サイクリング/インドネシア)」、「日本の違う一面を見ることができた。とても穏やかでリラックスできる。(新潟コース 里山ウォーキングツアー/フィリピン)」、「非常に訪問価値がある。中国語で説明があればなお良かった。(知床コース 知床五湖ガイドウォーク/中国)」といった声が寄せられました。素敵な景色とともにリフレッシュできることが、人気の理由のようです。
今回のファムトリップには全コースに通訳案内士が添乗していますが、実際の訪日旅行商品では必ずしも通訳案内士が同行するわけではありません。そのため、現地で外国語対応可能なガイドや外国語での詳細情報を提供できるかを懸念する声もありました。これらの自然系アクティビティは、ATやサステナブル・ツーリズムの一環としても注目されており、コンテンツの背景を説明することで理解を深め、より楽しむことができます。現状では多言語対応が難しい地域もありますが 、旅行者が言語の壁を感じることなく安心して楽しめるよう、体制を整えることが求められています。
左:「岩手・宮城コース」遠野サイクリング、右:「知床コース」知床五湖ガイドウォーク
次回のVJTM&VJMMは、2025年9月25日(木)~27日(土)に、Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)にて開催を予定しています(https://www.jnto.go.jp/news/info/20241226.html)。国内セラーの参加者募集は、2025年5月以降、JNTO公式ホームページの報道発表・お知らせ欄で公開いたします。
ファムトリップコース概要
[3泊4日] 9コース
① 知床コース
『世界自然遺産知床と東北海道の魅力に迫る~ネイチャーとアイヌ文化を知る旅~』
② 札幌・ニセコ・小樽コース
『北海道の自然と味覚を楽しむ~農業体験と酒蔵ツーリズム~』
③ 青森・秋田コース
『青森の祭り、アート、自然を通し地域の人々の暮らしを体感する旅!農家民泊と郷土料理も体験!』
④ 岩手・宮城コース
『地元ソムリエ兼観光大使がご案内する岩手・宮城のワインツーリズム』
⑤ 山形・福島コース
『東北の歴史と郷土食を楽しむ山形・福島巡り』
⑥ 新潟コース
『体と心を健康にする新潟巡り ~モノづくりの町・燕三条と大地の芸術祭』
⑦ 長野コース
『諏訪湖と日本一の星空体験、美しい自然体験の旅』
⑧ 金沢・軽井沢コース(MICE 向け)
『金沢伝統から軽井沢大自然まで様々なアトラクション視察』
⑨ 関西コース(MICE 向け)
『西日本で大阪・関西万博のテーマである「いのち」を体感する』
[2泊3日] 3コース
⑩ 栃木・茨城コース
『歴史を感じる旅 ~茨城ナイトタイムエコノミーと世界遺産日光東照宮~』
⑪ 群馬・東京コース
『群馬・水上でラフティングと谷川岳トレッキングを楽しむアドベンチャートラベル』
⑫ 東京・千葉コース
『東京の最新アートコンテンツと東京近郊の千葉で鋸山トレッキングと自然体験』