2022年1月18日
地域の観光コンテンツをJNTOプロモーションで活用(観光コンテンツ収集事業「Experiences in Japan」)
JNTOでは、2018年から全国の自治体、DMOの皆様から訪日外国人旅行者の受入体制が整った体験型アクティビティや特徴のある観光施設といった観光コンテンツを収集し、欧米豪市場、タイ市場、東アジア4市場(中国、台湾、香港、韓国)に向けたウェブサイト「Experiences in Japan」で魅力的なコンテンツを紹介するとともに、JNTOのプロモーションで活用しています。こちらの記事では、今年度(2021年度)の観光コンテンツ収集事業の概要、収集した観光コンテンツの活用状況や新たな取り組みについてご紹介します。
観光コンテンツ収集事業の取り組み
観光コンテンツ収集事業とは
JNTOでは、2018年から全国の自治体、DMOの皆様から観光コンテンツを収集しています。そして「外国人旅行者の目線で造成、情報発信されているか」「受入体制は整っているか」といった視点から、外国人有識者やJNTO海外事務所の意見をもとに選定された観光コンテンツについては、ネイティブライターが記事を書き起こし、地域の魅力ある観光コンテンツを紹介するウェブサイト「Experiences in Japan」や、欧米豪市場向けパンフレット「100 Experiences in JAPAN」などに掲載し、JNTOのプロモーションに活用しています。
ウェブサイト「Experiences in Japan」
ウェブサイト「Experiences in Japan」では、外国人旅行者がその興味・関心(パッション)に沿って閲覧できるよう、掲載コンテンツが「Tradition」「Outdoors」「Cuisine」「Cities」「Nature」「Art」「Relaxation」という7つのパッションに分類されています。また、都道府県・エリアごとにご覧いただくこともできます。
2020年3月に英語ページを公開後、中国簡体字、香港繁体字、台湾繁体字、韓国語を加えた5言語で観光コンテンツを掲載してきました。2021年3月には、新たにタイ語ページを設置し、対象市場範囲を拡大しました。
「Experiences in Japan」の掲載観光コンテンツの数は、下のとおりです。(2021年11月現在)
欧米豪市場向け 約375件
中国市場向け 約175件
台湾市場向け 約175件
香港市場向け 約175件
韓国市場向け 約175件
タイ市場向け 約100件
また、ウィズコロナの新たなニーズを踏まえ、掲載観光コンテンツには「各コンテンツにおける感染症対策の実施状況」として、JNTO作成のピクトグラムを表記し、コロナ禍における訪日旅行の不安払拭に向けた情報発信にも取り組んでいます。
収集した観光コンテンツの活用状況
SNSを活用した情報発信が大半を占める
観光コンテンツの記事制作のほかに、JNTOでは「100 Experiences in Japan」「Experiences in Japan」内に掲載されている観光コンテンツを各種プロモーションに活用しています。
① その他ウェブサイトやパンフレット、純広告の素材として活用
② 市場ニーズにあわせた海外事務所等からSNS発信
③ 海外での旅行博等のバナー素材等に活用
④ 招請事業のルートづくりに活用
実際にJNTO(海外事務所含む)において、SNS(Facebook、Instagram、Twitter)投稿、Webサイト掲載、広告宣伝、パンフレット、旅行博、招請事業などに観光コンテンツが活用された内訳は下表のとおりです(2020年4月~2021年3月末)。
SNS・WEBサイト等での情報発信において観光コンテンツの活用が半分を占めるとともに、旅行博・商談会・セミナー等でも活用しています。「旅行博・商談会・セミナー等」については、ウェビナー(ウェブセミナーの略称)の割合が高く、コロナ禍とSNSの普及拡大の影響により、SNSを中心とするオンラインでの情報発信の重要性が高まっています。
活用されやすい観光コンテンツとは
下表は、JNTOの各種プロモーションにおいて、活用回数の多い観光コンテンツのトップ10です。コロナ禍やSNSの拡大普及によりSNSやWebサイトでの情報発信の重要性が高まっていることから、「日本らしい風景」や「その場所でしか体験できない」といった写真映えのする観光コンテンツが多く活用されています。
JNTOの各種プロモーションにおける
活用回数の多い観光コンテンツトップ10
観光コンテンツ活用事例
JNTOトロント事務所では、旅行業界関係者向けのニュースレターにおいて、日本のサステイナブルツーリズムの一例の紹介を目的に複数の選定された観光コンテンツを掲載しました。
JNTOシドニー事務所では、雪をテーマとしたウェブセミナー「Japan Travel Trade Webinar 09:Ski,Snowboard & more(+Nagano Prefecture)」において長野県飯山市の「レストランかまくら村」を紹介しました。
新たな取り組みと今後に向けて
タイ語ページを新設
2019年1月~10月において、タイからの訪日客数は約100万人を超えており、その数はそれ以前まで毎年伸びていました。そのため、「Experiences in Japan」において、新たにタイ語ページを設置し、タイ市場に向けた観光コンテンツを収集し、JNTOのインバウンドプロモーションで活用しています。
トップページを改修
現在、「Experiences in Japan」にはのべ約1200件の観光コンテンツを掲載しています。そこで2021年7月には、「Experiences in Japan」訪問者がより多くの掲載観光コンテンツを見て、興味関心を引き起こすことを目的に「Experiences in Japan」のトップページを改修しました。
たとえば、「日本のスピリチュアリティ」というテーマの観光コンテンツ記事ページでは、過去に掲載した「永平寺」「高野山」「四国八十八か所遍路」「長崎のキリスト教遺跡」など地域横断的に紹介する記事をとりまとめ、同一テーマ内でより簡単に各観光コンテンツ記事へアクセスできるように改善。
またTradition, Outdoor, Cuisine, Cities, Nature, Art, Relaxationなどの興味関心に応じた入り口を設けることで、「Experiences in Japan」内の掲載観光コンテンツをより多くの方々に認識していただくとともに、興味・関心の赴くまま「Experiences in Japan」内を回遊していただくデザインに仕上げました。
2021年度観光コンテンツ収集事業について
2021年度は、5月21日~7月9日の約50日間にわたって、全国の都道府県、政令指定都市、DMO(候補法人を含む)を対象に観光コンテンツを募集しました。
今年度募集した観光コンテンツテーマは、ガイドによる案内・充実した外国語表記/解説など受入態勢が整っている以下のテーマです。
① 体験型アクティビティ(着地型ツアー、体験プログラム等)
② 特徴ある観光施設等(宿泊・飲食及びイベント含む)
昨年度までは7つのパッション(Tradition、Outdoors、Cuisine、Cities、Nature、Art、Relaxation)をテーマにコンテンツを募集してきましたが、今年度からは、観光コンテンツ収集事業対象市場(欧米豪、韓国、中国、香港、台湾、タイ)の傾向をとらえたうえで、各市場、重点的に収集したい観光コンテンツテーマを設定して募集しました(以下表を参照)。
観光コンテンツフィードバックを実施
各種プロモーションへの活用だけでなく、地域の皆様へ観光コンテンツフィードバックを行っています。2020年度は193団体(内訳:47都道府県、13政令市、10広域連携DMO、138地域連携・地域DMO)に対して実施しました。(実施期間:2020年12月~2021年7月)
観光コンテンツフィードバックでは、「観光コンテンツ造成のポイント」や「受入体制のチェックポイント」のほか、「市場別の傾向」、「JNTOのSDGsの取り組みについて」、「JNTOでの観光コンテンツの活用実績」について取り上げ、ご参加いただいた地域の皆様からは「他地域の好事例は参考になる」「市場ごとの傾向がよく分かった」などの評価をいただいています。
今年度はすでに選定が完了しており、2022年3月のWebサイト掲載(各言語75件予定)に向けてコンテンツの記事制作を行っています。ご応募いただいた全国自治体、DMOの皆様には、順次観光コンテンツフィードバックを実施します。
引き続き、地域の皆様にご協力をいただきながら、訪日インバウンドへの取り組みに努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
2020年度の観光コンテンツ収集事業については、以下の記事で紹介しています。