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インバウンドに役立つWebサイト、SNS、YouTubeの運用方法(JNTOマーケティング研修会テーマ2 ※講演資料の一部掲載)

インバウンドに役立つWebサイト、SNS、YouTubeの運用方法(JNTOマーケティング研修会テーマ2 ※講演資料の一部掲載)

インバウンドに役立つWebサイト、SNS、YouTubeの運用方法(JNTOマーケティング研修会テーマ2 ※講演資料の一部掲載)

JNTOが全国各地で開催している「JNTOマーケティング研修会」では、デジタルマーケティングやオリパラなどをテーマに講演を行っています。JNTOでは、研修会に参加できなかった方々にも広く情報共有できるよう、各テーマの内容を記事で解説していきます。今回は、「今日から実践できるデジタルマーケティング」を取り上げ、JNTOが日々実践する効果的なWebサイトやSNS、YouTubeの運用方法をご紹介。「WebサイトのPV数を上げたい」「SNSの画像選定の基準がわからない」「動画の活用を検討したい」と感じている方必見の、デジタルマーケティングのコツをお伝えします。

JNTOのデジタルマーケティング室では、ノウハウや知見をご紹介する記事も連載しています。
JNTOデジタルマーケティング連載vol.1『Webサイト分析手法とPDCAサイクルの秘訣』
『効果的な情報発信を行うためのFacebook運用ガイドライン』が完成(JNTOデジタルマーケティング連載vol.2)
『効果的な情報発信を行うためのInstagram運用ガイドライン』が完成(JNTOデジタルマーケティング連載vol.3)

カスタマージャーニーマップで全体の戦略を立てる

JNTOでは、「カスタマージャーニーマップ」を使用してマーケティングの全体戦略を立てています。このマップは、ユーザー(=訪日外国人旅行者)の行動に合わせて、いつ、どのような情報を、どのメディアを利用して訴求していくかを可視化したものです。

カスタマージャーニーマップを用いて全体戦略に基づくメディアの役割を決定

JNTOでは全体的な戦略をもとに、なにかを訴求した後には、必ず振り返りを行い、得られた知見やデータを次の戦略で活かすようにしています。このように、PDCAサイクルをしっかりと回していくことが大切です。

ここからはそれぞれの活用メディアについて具体的に解説していきます。

Webサイトの役割と活用方法

担当者が意識すべき3つの役割

JNTOでは、Webサイトをカスタマージャーニーマップでいう「興味・関心」「比較・検討」「予約・訪日」におけるメディアとして位置づけています。そのうえで、私たちはWebサイトの役割には3つのポイントがあると考えています。

1つめが、「検索結果の受け皿」です。ユーザーは、GoogleやYahoo!などの検索エンジン、SNSなどから、なにかしらの検索を行い、Webサイトを訪れます。その際、ユーザーをしっかりと捉える「受け皿」として、正しい情報を提供することが大切です。

2つめが、「信頼感・安心感の提供」です。公式Webサイトであることを伝え、信頼できる情報を提供していることをアピールします。すると、ユーザーも「このWebサイトにいけば正確な情報を得ることができる」という安心感を得ることができます。

3つめが、「情報発信コントロール」です。たとえばお祭りやイベントなど自分たちが公開したい情報を、催し事に合わせた適切なタイミングで示します。すると、ユーザーは「このWebサイトには、正確で旬な情報が掲載されている」と認識してくれるようになります。

このようなWebサイトの役割を確立するために、JNTOのWebサイト担当者は、Webサイトに不具合はないか・リンク切れを起こしていないかといった日々の運用、最新の観光情報や安全な旅行のための情報(災害・交通規制等)などの更新、Googleアナリティクスなどの分析ツールを用いたデータの確認を毎日行っています。データの確認では急激なアクセス上昇の有無や検索キーワードなどを速報的・簡易的に見ていきます。

KPIマネジメントで運用の効果を可視化

また、Webサイト運用からわかる効果をデジタルで可視化するため、いくつかの指標をもとにKPIマネジメントも行っています。

たとえば、2018年2月に改修をしたグローバルWebサイトでは、運用を続けていくなかで主に以下の4つの項目に改善が見られました。

新Webサイトと旧Webサイトの直帰率、滞在時間、閲覧ページ数、モバイルからの閲覧率の変化

新Webサイトでは、外国人旅行者視点でページ構成を見直し、レコメンド機能をつけるなど、さまざまなページを見てもらえるような仕組みを採用。直帰率が大きく改善しました。また、サイト内回遊を促したことで、サイトに滞在する平均時間、閲覧ページ数も増加。さらに、モバイル比率を上げるために、「モバイルで見た時に文字は見やすいか、画像がきちんとサイズ内におさまっているか」などをしっかりと調整し、モバイルからの閲覧率も上昇しました。

注意するべきは、「直帰率は低い方が良い」「回遊率は高い方が良い」とは一概には言えないということです。たとえば、Webサイトの役割を予約・購入としている場合、むしろ直帰率は高い方がユーザーも迷わず予約や購入ができていると判断することができます。

滞在時間が長かったり、回遊率が高かったりするのは、情報量が多くて迷っている可能性も考えられます。直帰率や回遊率、滞在時間はWebサイトの目的や状況によって、確認するポイントを変えることが重要です。

SNSにおける画像選定やテキスト作成のポイント

記事の冒頭にご紹介したカスタマージャーニーマップでは、FacebookやInstagramなどのSNSがほとんどの場面で利用されています。

JNTOでは、SNSを特に「認知喚起」や「予約・訪日」、また帰国した後に、投稿をシェアしリピートにつなげるツールとして位置づけています。ここでは、Facebook、Instagram、それぞれの運用ポイントをご紹介します。

Facebook:訴求する国の傾向を分析し、短文で情報発信

JNTOでは、2019年7月に「効果的な情報発信を行うためのFacebook運用ガイドライン」を作成しました。一部抜粋し、ご紹介します。

【画像】訴求する国によって画像を選定/“日本らしさ”を感じる画像を

国によって、好まれる画像は変わります。たとえば、アジアのユーザーは花の投稿を好む傾向にあったり、欧米向けに投稿する時は、過去の傾向からあまり反応が良くない魚介系の画像を控えたりなど。訴求する国の傾向にあった画像を選びましょう。

また、“日本らしさ”を感じる画像を選定するのにおすすめなのが素材のかけあわせです。たとえば、田んぼです。田んぼは日本ならではの風景と思いがちですが、インドネシアなどのアジア圏でも多く見られます。そこで試してほしいのが、「田んぼと夕日」や「田んぼと桜」など、素材をかけあわせること。日本にしかない色味や季節感を加えることで、より“日本らしさ”を表現することができるでしょう。

Instagram:奥行きある縦構図の画像を選定

JNTOでは、2019年9月に「効果的な情報発信を行うためのInstagram運用ガイドライン」も作成しています。JNTO本部のアカウントで特に反応が良かった投稿の傾向をご紹介します。

【画像】縦長で映える画像を意識

Instagramは、縦構図の画像のエンゲージメントが高めに出ています。そこで、縦長で映えるような写真の撮り方や、トリミングを意識すると良いでしょう。また、奥行きがある構図や、明るく、彩度の高い画像は反応が良い傾向にあります。

奥行きのある縦構図で、明るめ、彩度の高いものが人気/測定期間:2019年5月~2019年3月

YouTubeで選ばれる動画になるための4つの対策(SEO、タイトル、サムネイル、終了画面)

地域の認知度向上に向けてプロモーション動画の制作や拡散に取り組まれている方も多いと思います。JNTOでは、選ばれる動画にするために以下の4つの項目に気を付けています。

  • ①SEO対策
  • 検索結果で上位表示がされるよう、適切なキーワードやタイトルを説明文に盛り込みます。キーワードは動画との関連性が高いものを選び、地名や施設名など紹介したい固有名詞の活用もポイントです。
  • ②タイトル
  • 市場にあった言語設定を行いましょう。英文やその国の言語に直した時に、どんな内容なのか一目でわかりやすく、簡潔なタイトルになっていることが重要です。
  • ③サムネイル
  • 動画の表紙にあたるサムネイルの選定は、動画の再生数を大きく左右します。外国人の興味・関心をしっかりと引けるよう、外国人目線やオリジナリティを意識したサムネイルが鍵を握ります。
  • ④終了画面
  • YouTubeでは、動画最後の5~20秒でおすすめの動画を設置できる終了画面機能があります。関連動画の設定や動画からWebサイトに誘導するためのURLを掲載するなど、推奨動画の活用がおすすめです。

 

WebサイトとSNSの連動が生み出した相乗効果(大阪「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産登録時の事例)

最後に、WebサイトとSNSを組み合わせた施策で反響を得た事例をご紹介します。

2019年7月に、大阪の「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産に登録され、ニュースとなりました。JNTOデジタルマーケティング室では各担当者が集まる「編集会議」を定期的に行っており、ひとつのメディアだけでなく、Webサイト、SNS、さらには海外メディア向けPRとして、記事発信を企画しました。

具体的なステップは、所轄省庁や自治体へ画像許諾の申請を開始し、Webサイト、Facebookなどのメディアごとで記事を制作。世界遺産登録決定のニュースとともに、記事を公開しました。

その結果、Facebookは平均リーチ数の2倍のリーチを2日間で獲得。分析したところ、Facebook経由でWebサイトを訪れたユーザーもいれば、Googleなどでキーワード検索を行い、Webサイトで百舌鳥や古墳などの細かい情報を得たうえでFacebookを訪れている、という傾向もつかむことができました。このようにメディアの特性を連動させる「あわせ技の発信」はメディア担当業務を効率化できるだけでなく、ユーザーからの反応を得られるきっかけになるかもしれません。

今回ご紹介した方法を用いて、蓄積したデータと皆様の知見を組み合わせたマーケティングを行うことで、よりユーザーのニーズに合ったメディアの運用が可能になるのではないでしょうか。JNTOでは、SNSやWebサイトの運用ガイドラインを公開しています。ぜひ参考にしてみてください。

8月に大阪で開催した「JNTOマーケティング研修会in関西」の様子はこちらから

下記の記事では、JNTOマーケティング研修会の各講演テーマの内容をご紹介しています。