医療機関を中心とした関係者の皆様が、急な怪我や病気になられた訪日外国人旅行者を受け入れる際に役立つ、
マニュアル等と好取組事例集を作りました。ご参照ください。
医療関係者向けに提供されているマニュアル等
医療機関向けに提供されているマニュアル等資料一覧
- 外国人向け多言語説明資料 一覧(厚生労働省)
- 病院のための外国人患者の受入参考書(経済産業省) ※当資料は健診・検診や治療を目的として訪日する外国人患者を受け入れる為に作成されたものですが、
- 訪日外国人旅行者受付+診療マニュアル(九州運輸局)
- 医療費未払い対策マニュアル(近畿運輸局) ※マニュアルは参考資料11(p.110~p.120)に掲載しております。
- 病気!ケガ!の外国人観光客対応HAND BOOK(沖縄県・一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー)
- 多言語問診票、薬の服薬に関する説明書(岩手県)
一部訪日外国人患者に共通するところもありますのでご参考ください。
好取組事例1(公立病院A)
ポイント |
【受付時】 ・身元確認と同時に支払方法を確認し、保険会社等に支払の確約を取得。 ・受付時から医療費の概算金額を提示し、料金内訳やオプションを丁寧に説明する。 【退院時】 ・医療費が支払済みであることを確認してから退院させる。 |
多言語の対応体制 ・全部で13言語に対応可。 ・受付時の身元確認・支払確約の取得、医療費の説明、退院後の支払いの催促は、外国人対応専門部署(3名体制)で行っている。 |
対応可能なスタッフ(日中) |
遠隔通訳のコールセンター サービス利用 | 英語 |
4名常駐。 1名は米の看護師資格あり |
24時間対応 | 中国 |
非常勤3名 |
韓国 |
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スペイン |
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ポルトガル |
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ベトナム |
非常勤1名 |
平日の9:00-18:00間に対応 | ネパール他7言語 |
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受付 ・受付時は身元確認と同時に支払について確認。
- パスポート/身分証明書を確認・コピー。
- 支払方法の希望(現金かクレジットカードか)を確認する。
・クレジットカードの場合は受付時に登録を行う。
・旅行者に支払の意思表明及び連絡先を記載した支払確約書の作成を求める。
・保険加入者の場合、すぐに保険会社に連絡し支払確約書を取得。
- ホームページに疾患別の医療費の概算を掲載(3割負担の場合、全額負担の場合を併記)。
- 料金の構成(初診料等)や診療単価(1点XX円)を説明。
- 「検査はだいたい2万円程度(紹介料なし代+検査代+薬代)です」と説明。 |
診察 ・搭乗許可のために診断書を求める外国人患者のために、医者が英文を作文しなくてもチェックだけで仕上がる診断書フォーマットを作成、運用している。3分位で作成が可能。 |
精算時 ・十分な支払能力を有しない患者に対し、外部に支援を求めるよう提案・助言を行う(例:家族・友人から借りる、保険会社と交渉する、等)。 ・退院時は医療費が支払済みであることを確認してから退院させる。
- 退院手続き終了後旅行者に精算するように案内しても支払いせずに去ってしまう場合が多いため、医療費の領収書を確認してから退院手続きを行うように変更。 - 入院時に預かった荷物は、医療費の領収書を確認するまで返却しないなどして、支払を促す。 |
その他:外部の機関の利用 ・外部の関係者(クレジットカード会社、大使館、通訳)とコンタクトする際には、個人情報開示同意書を取得し、“私の医療に係る全ての人への開示”に対する同意を取得する。 ・「クレジットカード上限額まで使い切ったので払えない」という患者には、カード会社に電話させ上限額を一時的に上げてもらう。 ・本人のクレジットカードが使えない場合は、家族のクレジットカード情報を入手してもらい、それに基づいて支払い処理を行う。 ・支払について家族と相談させる際に、「家族と連絡が付かない」という場合には大使館に依頼させ、家族を探させることも実施。 ・本人が意識がない場合には大使館に連絡し、家族への連絡を依頼する。 ・退院後に医療費を請求する旅行者に対し、こまめにメール等で連絡をとり支払を催促。 |
紹介した 医療機関の概要 |
概要 ・公立で約800床を有する三次救急指定施設 取組みの背景 ・公立病院のため、他の医療機関で受け入れづらい外国人患者を受け入れる傾向があった。 ・外国人患者の数が増えてきたことを受け、院内に専門部署を2015年4月に設置。 外国人患者の傾向 ・地域住民に外国人が増えており、外来の12%(約400人)は外国人。労働者層なので高齢者が少ない。 |
好取組事例2(クリニックB)
ポイント |
・診療時に症状などの確認と併せ、支払について質問 ・費用負担を下げる検査・治療方法の提案や、支払方法の選択肢の提示 ・民間保険を使いこなす知識・経験の蓄積 |
多言語の対応体制
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診察 ・診療時に症状などの確認と併せて、支払方法(現金/カード)について聞く ・症状を確認した段階で、どのくらい治療費が掛かりそうか伝える ・支払に不安がありそうであれば、いくつか治療の選択肢を提示し、それぞれ費用の目安を伝える ・その際、検査は最小限に、薬はジェネリックを選択するように留意 ・旅行者の場合、当院で必ずしも完治させず、急性期を脱して帰国できるまで治療する、というオプションも用意(日本人のように完治前提としない)。 |
紹介した 医療機関の概要 |
概要 ・80年代に院長が近くの公立病院の勤務医であったときにインドシナ難民定住促進センターの嘱託医として彼らの医療に従事、日本語が理解できない人々に適切な医療を届けることの必要性とその難しさを痛感していた。 ・当時よりアジア系の住民が急増したことを受け、日本人同様に受け入れられる通訳のいる医療機関を目指し、1990年代にクリニックを設置。 ・消化器科・外科・小児科に対応。 取組みの背景 ・地域に住む東南アジア系の住民を中心に診察していたが、その住民を訪問する親族や、留学生の受診が増えてきた。 ・1990年代以降、順次着手。 訪日外国人旅行者の傾向 ・日本に住む娘や息子などの家族を訪ねるフィリピン人(一部ペルー人)の治療。英語が話せずタガログ語が主。保険加入者・未加入者ともいる。(2~3人/月)。 |