日本の魅力を、日本のチカラに。JNTO 日本政府観光局

和歌山県「北山川観光いかだ下り」(c) Tanabe City Kumano Tourism Bureau

1市場のニーズに合った訪日プロモーション素材を全国各地から収集

訪日外国人旅行者の体験型観光などに対する興味関心の高まりを受け、JNTOでは、2018年度から、外国人旅行者が参加可能な体験型アクティビティや受入体制が整った特徴ある観光施設などの観光コンテンツを全国の自治体・DMO等から広く募集する取り組みを行っている。現在、欧米豪(英語)、東アジア4市場(中国、韓国、香港、台湾)及びタイの6市場向けに、それぞれのニーズに合った優良な観光コンテンツを抽出し、本事業で制作した多言語ウェブサイト「Experiences in Japan」に掲載している。今年度は、新たに欧州4言語(フランス、ドイツ、スペイン、イタリア)のページを作成、また、多言語ウェブサイトに掲載しているコンテンツから100件を選定したデジタルパンフレットの作成を予定している。収集した観光コンテンツを海外へ情報発信するとともにJNTOが実施する訪日プロモーション事業に広く活用することで、訪日外国人旅行者の誘致を推進する。

多言語ウェブサイト「Experiences in Japan」Topページ

2外国人旅行者目線で観光コンテンツを選定

インバウンド向けの観光コンテンツの収集においては、「外国人旅行者目線になっているか」を十分に検証することが重要である。「むかしの日本」と「今の日本」のコントラスト、季節ごとの自然景観、特徴的な歴史や食文化など、日本の魅力は豊かといえるが、外国人旅行者にとっては現地での言葉の壁の不安があるのみならず、そもそもアクセス情報が見つけづらい、海外からの予約が困難などのケースが散見され、魅力があるだけでは実際の訪問につながらない状況がある。
本事業では収集した観光コンテンツについて、対象言語のウェブサイトや予約導線の有無、現地での多言語対応などの受入体制の充実度を確認した上で、各市場の外国人有識者とJNTOの海外事務所がコンテンツ内容の評価を行い、その結果をもとに「Experiences in Japan」に掲載するコンテンツを決定している。受入体制及び外国人視点という2つの観点から選定を行うことで、より訴求力のある観光コンテンツを対象市場での訪日プロモーションに活用することを目指している。
なお、選定後の情報発信に際しても「外国人旅行者目線」は重要であり、外国人旅行者が求める・魅力的に感じられる情報をお届けできるよう、コンテンツの紹介記事はネイティブスピーカーによる書きおろしを基本としている。

出羽三山および周辺で宿坊宿泊もできる山伏修行体験
(c) Yamabushido

3外国人旅行者目線から見た観光コンテンツ造成のポイント

外国人旅行者に好まれる観光コンテンツは市場ごとに違いが見られるが、本事業を通じて全市場に共通する観光コンテンツ造成のポイントも見えてきた。「外国人旅行者目線」に立って、以下4つのポイントを押さえて観光コンテンツの造成を行うことが重要となる。

  1. その土地に根差したストーリー性やテーマ性を有している
  2. 地元の人々とのふれあいや、地域資源を活用している
  3. 日本らしいユニークさや非日常体験を提供している
  4. 通常では利用できない希少性や限定感、エクスクルーシブ(独占的)な体験を提供している

外国人旅行者の受入体制を整えた上で、これら4つのいずれか、もしくは複数の要素を備えた観光コンテンツを造成し、その観光魅力を外国人旅行者目線で伝えることが外国人旅行者の誘客には効果的である。

鳥取砂丘でパラグライダー体験

4地域の観光コンテンツの磨き上げのために

本事業では地域から観光コンテンツを収集するだけでなく、応募いただいた団体に対して、外国人有識者の評価ポイントやJNTOの各種プロモーションでのコンテンツの活用状況をお伝えしている。各コンテンツの評価や改善点をフィードバックすることで地域の観光コンテンツの磨き上げや受入体制整備を行ってもらい、JNTOの訪日プロモーションで活用する素材を高度化する狙いがある。また「Experiences in Japan」は、国内向けにわかりやすく周知するため、地域の観光コンテンツが外国人旅行者にどのように発信されているのかを日本語でも紹介している。
各地の魅力ある観光コンテンツをJNTOの発信力を武器に積極的にPRすることで、訪日外国人旅行者に新たな地域への来訪動機を提供し、地域の活性化につなげていく。その意味においても観光コンテンツの収集は地域との相乗効果を図りながら実施していく必要がある。本事業では今後も地域から観光コンテンツを収集し、魅力ある観光コンテンツの発掘及び地域におけるインバウンド誘致活動の促進を目指す。

イメージ

PROFILE

地域連携部 地域プロモーション連携室

地域連携部 地域プロモーション連携室

インバウンドに取り組む地方自治体及びDMO(候補)法人等観光関連団体を対象に、JNTOと地域の連携強化による訪日プロモーションの高度化を目的に設置された。本稿で紹介した事業をはじめ、JNTO内外で連携しながら、地域へのコンサルティングや地域セミナーの開催、地域情報発信事業、動画配信事業(Fun From Home)や東北復興関連事業など幅広く事業を実施している。

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